2010年12月27日月曜日

[プロボノ日記] 制作 BGM(その1)

会社が年末年始の休暇に入ったら、すっかりコーディング漬けな日々。

このところ、どうも煮詰まることが多い。
しかも周りはお休みモード。

制作作業中にかける音楽は結構重要。
そして、その曲をあとから聞くと、作業に没頭していた(追われていた?)頃を思い出して、ほろ苦い思いをしたり、切ない気持になったり。

私の場合、単調に同じアルバムを何度も何度もかけるタイプ。
留学中にウェブサイトやアニメーションの課題を作っている時には、Underworldの「A Hundred Days Off」をヘビーローテーションでかけて、半トランスになりながら制作していたことを思い出す。

新年に向け周りの人が盛り上がっている時に、コーディングでつまづいて、大掃除もできない時に私が聴いていたのが、カエターノ・ヴェローゾのベスト集「アントロジア

ブラジルの巨匠の 2 枚組アルバムをかけて、緩やかなラテン音楽の世界に身を委ね、「上手くいかなくったって、もうどうでもいいや」と逃避気味。

ポップスバージョンの「Cucurrucucu Paloma」を聴くと、ウォン・カーウァイ監督の香港映画「Happy Together」を思い出したり、気分はすっかり逃避モード。

温かなラテンのリズムとゆったりとした明るいメロディーがぐるぐると空を流れていく。

2010年12月20日月曜日

[プロボノ日記] 制作フェーズも佳境に入りつつ…

週末、用事でちょっと塞がっていたら、あっという間にプロジェクトのメーリングリストのメールがたまってしまい、今日はそれぞれに返事を書くだけで、ほとんど一日が終わってしまう。

いよいよ具体的な制作フェーズ。

 コピーやテキストの作成
     
 デザイン作成
     
 コーディング
 ※私の担当

の流れが三段階に分かれて繰り返されて、今はその第一段階目。今まで以上に具体的な指示や疑問点がやりとりされて、通常の業務のよう。

プロジェクト用の管理ツールを使っているものの、ファイルをやりとりするには少し不便なので、Illustrator のような大きめのデザインファイルは firestorage を使って受け渡しをすることにする。

デザイナーが作成してくれたデザインを受け取って、ダウンロードするだけでもかなりの重さ。
Zip にまとめられたファイルを解凍すること数十分。

解凍されたフォルダの中を見ると、そのファイルの数に気が遠くなる…。

2010年12月2日木曜日

[プロボノ日記] 基礎クリエイティブ提案

今日は 1 ヶ月ぶりに、大山の青い空さんの事務所を訪ねて、基礎クリエイティブ提案を実施。

デザイナーが作成したデザイン案を見せ、コピーライターは作成したコピーや原稿について説明する。

さらに、今までに NPO さんからいただいた原稿に関する意見交換や質疑応答、逆に NPO さんの方で不明確・困っている点について回答していく。

いつもはうちのチームの進行役はプロジェクトマネジャーの役割。
でも今日の主役は、デザイナーとコピーライターだ。

さすが、二人とも日頃から行っている業務だけに、提案内容も話の進め方もしっかりしていて(当たり前だけど)、傍らにいる私は落ち着いて聞いていられる。

この部分はプロボノで最も大切なところではないか。
もし、他のメンバーのスキルがあやふやなことが分かると、メンバー間の信頼関係や役割分担もぐらついてしまう。 

しっかりと今まで仕事をしてきた人だからこそ、安心して分担を任せることができるし、その確立された仕事ぶりからこちらも学ぶことがある。そこが学生のサークル活動やボランティアとは格段に違うところだ。

ふと提案を聞きながら、自分が日々おこなっている業務と比べてしまう。

今の職場では自分の役割がどんどん限られていき、このように 1 から何かを作る機会はほとんどなくなっていた。毎日、いろいろな部署から寄せられるリクエストに基づいて、ウェブを更新したり、新しいコンテンツを作るために、ベンダーに作業を依頼し、全体のスケジュールや調整役に徹する。

自分で手を動かしてページを作ることもあるけれど、業務のほとんどがディレクション。
しかも、最近は打ち合わせに出ることもほとんどなく、出ても、進行役に任せて、たまに質問したり答えたりするぐらい。

もちろん、それだってここまで慣れるのに時間も手間もかかったけれど、今回のプロボノプロジェクトのように、全く新しいものを作り上げていくことに比べれば、ずっと楽なことに思えた。

ただこなすだけの仕事

…このご時世、仕事があるだけいいことかもしれないけれども、なんだかそれがずっと続いていては物足りなさを感じてしまう。

次々と上がってくる NPO 側の質問に一生懸命答える二人の横顔を見ながら、またもや「自分ももっとがんばらなくっちゃ」と少し焦りも混じった思いが込み上げてきた。

2010年11月24日水曜日

[プロボノ日記] 基礎クリエイティブ提案、プレミーティング

今月2回目のメンバーミーティングでは、来週の青い空さんへの基礎クリエイティブ提案に先駆けて、今日までにもらった原稿や画像素材の確認、そして次回のミーティングで提案する内容について意識合わせをする。

今日から新メンバーとして、カメラマンの今井さんが援軍に加わる。
彼もイギリス留学経験者で、イギリスネタを共有できる人が増えるのがまた嬉しい。

まず、NPO さんから届いた原稿を 1 つずつページと付き合わせる。
先方も朝の 5 時まで作業をしていたり、やる気満々。ところがいざ受け取った原稿の内容を見てみると、こちらが想定していたものと違っている。

「これはこっちのページに入れたらいいんじゃない」
「あれっ、この内容じゃあ、こっちでイメージしているものと違うよねえ」

ワイヤーフレームやサイトマップで意識合わせをしたはずが、こちらの意図と微妙にずれた内容や、先方が提案した案と異なるものまである。今回はそこまで大規模なウェブサイトを作るわけでもないのに、こんなに原稿内容の確認に注意が必要とは想定外

今回は時間も限られているので、先方に確認するのを待つより、一旦こちらで作成したものを提出して検討することにする。

やはり難関は子ども用ページ。
1 ページだけ作ることになっているのだが、原稿を見るとクイズ形式(?)、ゲームのような動き(?)とも捉えられるような箇所まである。これには一同揃って唸ってしまう。

「あれだけ説明して話したのに、結局また元に戻っちゃってるよ」
「どうしても子どもが使うウェブサイトを作るって考えが染み付いているんだね」

意思の疎通とはなかなか難しいものだ。

最近はメールやインターネット電話が便利に使えるようになって、遠隔地の拠点同士で一緒に仕事をするケースも増えたけど、わたしたちのプロジェクトも、もし月に数回でも顔を合わせる打ち合わせがなかったら、どうなっていたんだろうと考える。

最後に、いつもと同様に今後の作業の流れとスケジュールを確認(左はスケジュール管理表)。

いよいよプロジェクトの最終段階にさしかかって、ついに私の作業も始まってしまう。

「ああ〜、ついに…」というのが正直なところで、「 やっと自分の出番が来たぜ!」という前向きな思いとは少し違った。ここまでスケジュールに遅れずにやってこれたので、私のせいで遅れが生じないよう頑張らなくては。

今日はミーティングを早めに終えて、久々にメンバーで飲んで帰る。
本当は新しいメンバーを囲んだ会になるはずが、残念ながら彼は用事があって抜けてしまったので、なじみのメンバーでの会。少しずつ、気が付かないうちにチームらしさが増していく。

2010年11月20日土曜日

[プロボノ日記] 朝日新聞に登場

今朝の朝日新聞の「人生デザイン」という社会面のコーナーに、わがプロボノチームのインタヴュー記事が掲載された。

おかしかったのは、同じチームのメンバーたち。
記者の方が教えてくれた掲載日が 1 日ずれていて、新聞を見たものの、記事が見当たらなくてそわそわ….。

普段メールのやりとりがないような時間帯にまで、
「記者の人が今日だっていうんで、見てみたんだけどの載ってないんだよねえ。神奈川県版だから?」
「社会面の記事なら、全国一緒なはずなんですけどね…」
とメーリングリストに返信が続く。

内容確認のため、あらかじめ記者の方から原稿を見せてもらってはいたものの、まだレイアウトが組まれる前の状態だったので、実際に記事を読んでびっくり。

カラーで、しかも紙面をかなり占めている。
前週は白黒の記事だったので、この違いにもびっくり。

現在、サービスグラントで稼働しているプロジェクトはいくつもあるので、他のチームのことも紹介されているのかと思ったら、わが青い空チームだけが取り上げられたことにもびっくり。

先日取材を受けただけでも、チームの結束力がさらに高まったのに、これでさらにやる気もアップ。微力ながら、この記事を読んで、プロボノの認知度が少しでも高まって、プロボノを実践してくれる人が増えるといいな

[プロボノ日記] デザインについて考える



前回のミーティングから少しバタバタしてしまって、しばらくチーム内のメールのやりとりにも返信ができない日々が続いてしまった(長く感じたけれども、じつは1週間も経っていなかった)。

デザインに関して、NPO 側から回答があった。
継続して話題になっているのは、NPO のイメージキャラクター画像の掲載について。

NPO 側としては、今まで長らく親しんできたキャラクターをいろいろ活用したい様子。
キャラクターをワンポイント的に使う分には問題ないが、あまりにも沢山サイト上に露出させると、どうしてもポップで子どもっぽくなってしまうことをメンバーで危惧。

「イメージキャラクターのファンサイトを作るのが目的ではない」というメンバーの声もあがってくる。

私も、ウェブサイトへのキャラクターの掲載については警戒はしていたけど、改めて考え直してみると、今のデザイン案通り、あるいはそれ以上に増やしてもあまり違和感はないように思えた。もちろん、これは個人的な好みや女性的な傾向なのかもしれないけれど。

今回リニューアルしようとしているウェブサイトには、大きく分けて5つの問題が見受けられた。
  • ターゲッティングの問題
    →サイトの対象者が不明で、的確な内容が掲載されていない
  • デザインの問題
    →素人っぽく、趣味サークルに見えてしまう、信頼感が得られない
  • ウェブデザイン・設計の問題
    →ナビゲーションに一貫性がない等、ユーザにフレンドリーでない
  • 掲載内容の問題
    →コンテンツが整理されていない、必要なコンテンツがない
  • 情報更新の問題
    →コンテンツが古いままで、更新されていない。
これらの問題点を改善するために、きちんと考えられたマーケティングやプランニング、デザインがされていれば、極端な話、キャラクター画像の掲載やその頻度もそこまでウェブサイトに深刻な影響を与えないかな、とも思えてきたのだ。

最後の「情報更新」は今後の課題だけど、これまでの制作過程からしても、残りはほぼ解決の目処がたっている。それで土台がきちんとしていれば、多少何を持ってきてもサイトの価値や方向性は揺らがないんじゃと。
それとは別に、この NPO が持つ独特の温かさ、やわらかさを表現してあげたかった。
もちろん、「やわらかいイメージ」=「キャラクターを使う」ではないし、イメージを出すのはデザインだけでなく、写真やコピーや掲載内容全てで表現することになるだろう。
ふとウェブデザインを根本のところから考えてしまった。
意見は分かれそうだけど。

2010年11月15日月曜日

[プロボノ日記] 新メンバー登場!

サービスグラント事務局の入谷さんから、嬉しい知らせが。

我が青い空チームに、強力な助っ人が加わることに!

ウェブサイトに掲載する写真を撮影してくれるフォトグラファー担当が決まったのだ。

きちんとしたウェブサイトを作るなら、掲載するイメージもとても大切で、
できるだけ NPO のイメージが良くなる、効果的なものを使いたい。

NPO の方々が一番輝いている時と言うと…
やはり何と言っても、個々の活動をしている時

でも青い空さんの場合、学校でワークショップをしている際に
メンバーは全員ワークショップの進行役なので、写真撮影をできる人がいない。

それに、されど写真と侮るなかれ、
やはり本職の人が撮る写真は出来上がりが全く違う。

今まで青い空さんで撮りためた写真があまりなかったこともあり、
これでウェブ制作にも弾みがつきそうで嬉しい。

2010年11月10日水曜日

[プロボノ日記] プロボノチーム、新聞社の取材を受ける

昨日は、NPO 側からもらったフィードバックをめぐって、いつもと同様に喧々諤々と打ち合わせ。

じつはこの日はいつもと違って、ミーティングの後に新聞社の方の取材が入っていた。

「つながる」を毎週テーマに書いているコーナーで、今度はプロボノをテーマに取り上げることになったらしい。そして、たまたまその取材先として、私のプロボノチームに白羽の矢が立ったのだ。

この日はマーケッター以外の、プロジェクトマネージャー、コピーライター、デザイナー、そしてコーディングの私の 4 人が参加。それにサービスグラント事務局の入谷さんが同席。新聞記者の方の質問に、ミーティングとは違ったテンションが走る。

まず一人ずつ自己紹介をし、年齢を訊ねられ…

じつは今のメンバーと一度も年齢の話をしたことはなかった。
「なんとなくこの位かな」という予測位はあったけど。

初めて分かったのはメンバーの年齢だけではなかった。
なぜプロボノを始めたのか、いつサービスグラントのスキルボランティアに登録をしたのか、全員の詳細は知らなかった。

私は 3 月に登録して、7 月にプロジェクトの招集が来たけれど、他のメンバーはもっと長い期間待たなければならなかったなど初耳。

何しろ、いつも夜分のミーティングで、終わるのも夜 10 〜 11 時ぐらい。終電のことも考えると、その後で一杯ひっかけるだけの時間もない。プロジェクトのメンバーと飲んだのは、最初のキックオフと、たまたま一回だけ打ち合わせの後に渋谷で時だけだったのだ。

でも、飲み会はしなくても、一緒にプロジェクトをしていくうちに、ちょっとしたところで一人一人の癖も個性もにじみでてくる。たった半年のプロジェクト、会うのは月に 1、2 回という間柄だけど、共に何かを作り上げる経験というのは、初めての人同士をつなげるのに充分有効的な方法だ。

今年は自分なりにいろいろ新しいところへ出て行こうと、習い事をしたり、今流行の読書会やオフ会に足を運んだこともあった。こうした場だと、今までネットでつながってきた人々は不思議と今までの共通の話題もあって打ち解けやすい。

でも……
やはり名刺を交換し、その場限りの関係で終わってしまうことがほとんど。
これは仕事で参加したことのある異業種交流会でもそうだった。

名刺の数は増えるかもしれないけど、一年も経たない内に、「この人、どんな人だったっけ?」なんてことになりかねない。

インタビューを受けるうちに、気を良くした我がメンバーたちは、次々と語り始めてとどまるところを知らない。その中で、これまでの 3 ヶ月の間に得たもの、発見をいろいろ聞くこともできた。

「NPO と企業の関係だと、NPO が企業からのサポートにありがたみを感じたりすることは多いけど、企業も逆に NPO から学ぶものがある」と切り出したのはプロジェクトマネジャー。NPO は、熾烈な競争社会の渦中にある企業が忘れてしまった、情熱や理想といったものを持っている。企業はそこから学ぶことがあるというのだ。

確かに、NPO は専門知識だけでなく、そうした精神面で企業に与えるものがあるなら、双方にとってもとてもよいことだ。

他にも、プロボノをすることで、今の自分の仕事や立場を見直すことができた。
自分では無為に目の前のことをやってきただけだと思っていたけれども、じつはその積み重ねの内に、充分誇れるスキルを身につけていたのだということにも気づかされる。それぞれが異なる仕事をもつだけに、チームとしてまとまると、各々の役割分担は明確だ。

また、途中メンバーが抜けたり、足りない部分を残されたメンバーで補い合ったり、決して全てが計画どおり、順風満帆に進んだわけではないけれど、危機がある度にそれがチームの結束力を高めてくれたのかもしれない。そういう意味では、何か問題が起こっても、それは「人生のスパイス」ならぬ「プロジェクトのスパイス」となるのだろう。

7 月にプロジェクトを始めてからちょうど折り返し地点。
いいタイミングで、この取材が我々チームの振り返りになったようだ。

インタビュー中の他のメンバーの発言を聞きながら、
そして、これまでの経緯を振り返りながら、このメンバーで一緒にできて本当によかったとしみじみと感じ入ったり、コーディネートしてくれたサービスグラントさんに感謝したり。

はちまちをまき直し、これで残りの制作作業にも気合いが入りそう。

[プロボノ日記] 制作プランのフィードバックがやってきた

前回の制作プラン提案について、NPO 青い空さんからフィードバックが届く。

青い空さんは、毎回組織内での合意を取りながら、期限までにきっちりまとめたコメントを返してくれる。それが今回は少し押し気味で来たところにも、提案について先方の内部で調整が難航していたことを暗に示している。

青い空さんからいただいた制作プランのフィードバックに沿って、もう一度、サイトマップやワイヤーフレームといった資料を最終確認し、次のフェーズである制作作業へと進んでいく。

他のプロボノ案件と比べても、私たちのチームの青い空さんは内容についてとてもコメントが多いそうだ。それだけこちらもやりがいが大きくなるというもの!?

このフェーズで主役となるのは、コピーライターデザイナー
私は二人に過度に介入しないように、各担当者がどのような狙いで先方とのやりとりを進めようとするのか見守る。

プロボノは自分がどこまでプロジェクトに参加するかも、各々の自主性にゆだねられている。極端な話、自分の担当するフェーズだけを守れば、それ以外は参加しないのだってあり。

私の場合、初めてのプロボノプロジェクトを見届けようという気持ちと、せっかく協働しているのだから、普段直接一緒に仕事をするチャンスのないコピーライターやデザイナーの仕事のやり方をのぞいてみたいという気持ちもあって、最初から最後まで、できるだけミーティングも参加することにしてみた。

デザイナーの経験からすると、今の時点でどんなリスクが想定されて、それを防ぐためにはどう進めたらいいのか…とあれこれ全員で話し合った作戦会議。

先方のこだわりの 1 つとして、イメージキャラクターのライトちゃんの露出がある。
ライトちゃんをサイトデザインのポイントとして使用するのは雰囲気もやわらかくなっていいものの、多用しすぎると大人が見るサイトには似つかわしくなくなってしまう。

先方の要望は取り入れてあげたいものの、客観的な立場からするとここは「NG」を出すべきところ、とメンバー全員で意見が一致した。

もう1つのこだわりが、子ども向けのページ
そもそも、子どもはあまり青い空のウェブサイトを訪れることはないだろう、という認識を関係者ヒアリングの後も強めていたため、できるだけ内容を薄めて、他ページに注力しようと提案してきた。

今までも議論を重ねてきたが、今回は初期案に戻ってしまったようで、まだ検討は続きそう。

このプロジェクトで青い空さんと私たちとで議論する山場となり、最後まで作業にかかるページになりそうな模様。

これが仕事上のことだったら、「どうしよう!」と全員もっと青ざめた顔で喧々諤々の議論をしていたかもしれないが、そこがプロボノのいいところ、「これも私たちのプロジェクトを思い出深いものにするスパイスみたいなもの」と思えるほど余裕を持てること(わがプロボノシニアチーム故か)。

先方の熱意にほだされ、内容は引き続き検討するものの、このために独立したページを設けることは全員合意。

具体的な制作に進んでいくにつれ、打ち合わせの口調も熱を帯びてくる。
スケジュールを確認しながら、残された作業日が決して多くはないことも分かるとなおさらだ。

2010年10月27日水曜日

英語と芝居の修業は同じ!?

まだ英語のコースが始まって2 週間ということもあって、次の授業までにきちんと宿題を終え、時間が許すかぎり復習をする。

毎週、キーになる言い回しをいくつか授業で紹介される。
最初の週は、相手の言うことがよく分からない時に言うフレーズ。

 What do you mean by? それはどういう意味ですか?
 What do you mean exactly?  正確にはどういう意味ですか?
 Could you be more specific? もっと詳しく話してもらえませんか?

などなど。

一番聞き慣れないフレーズを口惜しくて何度も繰り返す。

 Could you run that by me again? もう一度説明してください
 Could you run that by me again?
 Could you run that by me again?
 Could you run that by me again?
 Could you run that by me again?
 Could you run that by me again?
 Could you run that by me again?
 Could you run that by me again?
 Could you run that by me again?
 Could you run that by me again?
 Could you run that by me again?
 Could you run that by me again?

まるで芝居でセリフを覚える時みたいだ。何度も何度も口にすることで、すっかり体になじませ、自然に流れるように出て来るまで続ける。ごく自然に口をついて言葉が出るようになって、初めて次に進める。

これがダンサーであれば、振付が体に染み込むまで、何度も何度もステップを繰り返す。先日観たドキュメンタリーの中の吉田都さんも全くその通りだった。

星飛雄馬であれば、納得が行くまで何度も何度も投球や打球を繰り返す。

演劇であれ、舞踏であれ、スポーツであれ、まずは基礎となる部分を繰り返し、無意識でも出てくるほどにしっかりと体に定着させる。それができて、やっと自由な表現ができる。その傾向は、伝統芸能であればさらに強まるのだろう。そんな劇団時代に習ったことを思い出す。

今日はアメリカのチームと電話会議をしていて、もう一つのフレーズの方がすっと頭の中に浮かんだけど、何度も繰り返したCould you run that by me again? の方は全くと言っていいほど出て来なかった。だめだ、まだまだ体に染みついていない…。

 Could you run that by me again?
 Could you run that by me again?
 Could you run that by me again?

今日も念仏のようにぶつぶつ繰り返すしかない。

[プロボノ日記] 予定大幅変更の恐れ!?

中間提案のさらに先、先週ワイヤーフレームやサイトマップを囲んであれこれと検討した内容を今日は再度 NPO に提案した。

今日は、リーダーとデザイナーとコピーライターと私。マーケッターは仕事のためお休み。そして NPO 青い空の皆さん。さらにサービスグラント事務局から 2 名と、今回も大所帯。 青い空の皆さんが用意してくれたおにぎりやちらし寿司、煮卵などのお総菜をいただきながらの打ち合わせ。

サイトの構成とともに、どのような原稿を書いてほしいのか、どんな写真素材が必要かなど、具体的なコンテンツ制作に関わる部分も確認する。さすが、仕事で経験を積んでいるデザイナーとコピーライター。

自分達では、もうこれ以上ないという準備の施しようだったし、昨日の「120 %の準備が自分を支える」ということばをつい思い出す。

しかし、青い空さん 側からいろいろと質問を受け、思いがけない要望も上がってきた。

今まで、青い空さんのおもな活動内容は CAP で、今回のサイトのおもなコンテンツも  CAP をメインの内容に据えて構成やコンテンツを練っていた。それが、その他の活動内容のセルフディフェンスとデート DV も同じ重み付けをしたいという声があったのだ。

そうなると、サイトの構成が変わり、1 番上位の階層に新たに 2 つの項目が追加されることになる。ウェブサイトで言えば、グランドメニュー (よくサイトの 1 番上や左側に並んでいるメニュー)に変更が生じることになる。

影響はサイトの構成だけではない。
主題が多様化すれば、サイトで訴えたいメッセージが変わり、デザインもコピーも変わってくる。

もちろん、NPO 側でどうしても必要な内容であれば追加する。
ただ、あまり多様化しすぎても主張が薄まってしまって、サイトを訪れた人に何を訴えたいのか伝わりにくくなるリスクもある。サイトの持つ訴求力を考えると、むやみに核となる部分を広げすぎない方がいいと、デザイナーとコピーライター担当からはアドバイスをしておいた。

ふと先日参加した css nite で、株式会社ワンパクの阿部 淳也さんが話していた、関係者巻き込み型の要件定義を思い出す。制作の上流から発注者も巻き込み、一緒に作業をしていくことで、発注者側にも当時者意識が芽生え、常にお互いに同意の上で制作を進めていくので、作業の手戻りのリスクが確実に減るらしい。

いつも一緒に作業を進められたら、実現できるし、これは関係者全体が無駄なく、同じベクトルに向かって行けるいい案だ。

でも、逆に離れて作業することを嘆くだけの必要もない。発注者と距離を取れていると、相手の意見に同調することなく、客観的にプロジェクトを見ることができる。そうした期間にアイデアを熟させて、練ったものを発注者とシェアすればいい。

…と少し脱線したが、
最後にサプライズとして、デザイナーが作成したデザイン案 2 種類を公開。

デザイナーが作成したデザイン案を2種類を紹介すると、少し議論が行き詰まりかけていた雰囲気の中でふわっと歓声があがる。

最終的に目指す形を具体的なイメージで提示できるのは心強い。
お互いに理解が足りない部分があったり、まだ不明確なままの部分があっても、「最終的に目指していくものはこれなんです」とゴールが見えると、そのゴールに到達するためなら、今の議論も悩みもなんとかしよう、と意欲が湧いてくるのだ。

お互いに意見や質問を十分に交換し合うと、あっという間に10時半。
外では強い風がピューピュー吹いている。
 
さて、この提案を踏まえて、どんなフィードバックを NPO サイドからいただけるのか楽しみにしていよう。

2010年10月26日火曜日

改めて、吉田都さんに感動

NHK の「プロフェッショナル 仕事の流儀」に、元英国ロイヤルバレエのプリンシパルである吉田都さんが 2 度目の登場。

今回は「元」がついてしまうように、15 年以上もトップダンサーとして活躍したバレエ団の最後の公演までの 3 ヶ月間を追ったドキュメンタリーだ。

ロンドンでの最後の演目の「シンデレラ」や日本公演の「ロミオとジュリエット」の様子も映し出される。ロンドン、そして何度通ったか分からないロイヤルオペラ劇場も。

通常、舞台中継をテレビで観てもいまいちだけど、彼女の演技、とりわけ私も生で観た「ロミオとジュリエット」の演技力はテレビの前にいても胸が苦しくなり、目頭が熱くなる。

たまたま見かけた「スーパーバレエレッスン」で講師役の彼女が、生徒を指導するふとした動きもそうだったけど、ともかく彼女は演技力・表現力が豊か。きっとそれは心も体も柔軟だからなしえているのだろう。心も体もやわらかくするって本当に大切だ。演劇をしていた時に何度も聞いたけど、柔軟性があるからこそ、相手の演技を受けることも、そして返すこともできて表現が豊かになる。

それは何も演技だけの話ではない。充分、日常生活でもあてはまる。心がやわらかさを失い、硬直してしまったら、世界から遮断され、生きる道を見失ってしまう。

以前、この番組でも垣間みられた彼女の毎日の生活は、優雅で美しい舞台からはかけ離れた、壮絶で苦しい闘いの日々。

体の故障に悩まされる肉体的な闘い、
東洋人としての外見のコンプレックスに苦しむ内面の闘い、
他のダンサーに追い越されないようにというプレッシャーとの闘い、
自分の踊りや演技との闘い……。

でも彼女は踊り切った。
比較されることの多い、同じバレエ団の花形ダンサーであるバッセルやギエムが去った後も、彼女は踊り続けて、自分の踊りの美を追求した。ともかく懸命に、がむしゃらに。

楽屋でトゥシューズの中敷を外し、滑りすぎないようにソールを削ったり刻んだりする。前の回では、足になじませるために新しいトゥシューズのつま先を床やへりに叩き付けていた。そんな様は、アーティストというよりも職人のよう。

ひたむきな情熱が彼女の踊りを支えてきたと言ってもいい。
だから外見に関するコンプレックスも飛躍するためのバネに変えることができたのだ。

自分が劇団にいた頃の外見に関するコンプレックス、
留学していた頃の語学力に関するコンプレックス、
そして海外生活での差別……

自分にも同じようなことがあったなと、今ではちょっぴりほろ苦い思い出が記憶をかすめる。

情熱が彼女の何にも勝る原動力だったからこそ、番組の中でも何度か漏らしていたように、「なんだか安心してしまっている自分」になってしまっては、今までと同様、貪欲に踊り続けることは難しいといち早く察したのだろう。

自分の頂点で退く、そうした選択肢を得た彼女は勇敢であり、潔く、そしてそれを選ぶことができたのはとてもラッキーなことだった。同じようにダンサーとしてのキャリアの絶頂で引退したダウシー・バッセルと同様に、それだけ自分の踊りへのこだわり、美への強い執着があったのだろう。それがまたカッコいいのだ。

人間は本当に上手くできていると思う時がある。
年齢を重ね、体力が落ちて弱くなっていくとともに、これ以上望まないようにと心も安定していき、あまり冒険をおかそうとは思わなくなっていく。無理に頑張りすぎるのもどうかと思うが、吉田さんの場合、心の持ち方でこうも見事な去り際を飾ることができるものかと、ただひとしきり感心するばかり。

120 %の準備が自分を支える」という彼女のことば、

そして、プロフェッショナルとはと訊ねられて彼女が答えた

情熱と誇りを持って、ひとつのことをコツコツとやっていける人…

その両方が私の心の琴線に触れた。

私もまだまだだな、もっともっとできることがある。
今からでもまだ間に合う。

参照:NHK「世界のプリマ 最後の闘いの日々 バレリーナ・吉田都」

2010年10月18日月曜日

イングリッシュパブと iPad

どうしてもイングリッシュパブで期間限定の生ビールを飲みたいという友達に呼び出され、お気に入りの渋谷のパブに集まった。

じつは数日前に舞台を観た帰りに知人と寄り、その時に見つけたのがイギリス IPA"SWAN LAKE" という地ビールだった。その名も「白鳥の湖」。

ビールとバレエが大好きで、とりわけ「白鳥の湖」をこよなく愛する友人に話したら、目の色を変えて飛び付いたのだ(メールのレスの早さからも、その熱意の程が伝わってくる)。

お互い出先から落ち合ってパブに入ると、さすが週末、店内の席はほとんど賑わって座る場所もない。ひとまず一杯目に本日のお目当ての地ビールをカウンターで立ったまま、チビリチビリと飲み始めた。

途中から、席の半分が空いているテーブルに相席させてもらったので、疲れた足を休めながら、持っていた iPad で夏の旅行の写真を見せ始めた。

「ねえ、隣の人に話しかけてみる?」と、知人がテーブルをシェアしている外国人男性をしめす。どうも人を待っているのか、一人で携帯電話の画面を覗き込んでいる。

提案をするが早いか、友人が見知らぬ男性に話しかける。
彼はすぐに私達が覗き込んでいた iPad に反応し、どこの写真かと訊ねてきた。

私が夏に訪れたアウター・ヘブリディーズ諸島のことを話すと、
「僕はその隣のスカイ島の出身だよ」と言う。
なんたる偶然!

ロンドンやパリなら分かるけど、スコットランドの離島に行った日本人と、離島出身のスコットランド人が東京で居合わせるなど、考えられないぐらい確率の低い話だ。

その後、iPad の画面を囲みながら、2 年前にスコットランドに行った友人も思い出がよみがえってきて、3 人でスコットランドやイギリスの思い出話に花が咲いた。

デジタルカメラのモニターや携帯電話の画面と違って、大きい分複数名で囲んでワイワイと話が出来るのが iPad のいいところ。この日は iPad 様々だった。

感謝の思いで iPad にも気前良くビールを一口お裾分け………
いや、うっかり iPad の画面にビールをひっかけてしまったのだ。

後日、相棒の iPad のスクリーンからアルコール性有機物を拭き取るのに、専用のクリーナーを買ってこなくてはならなかったけど。

[プロボノ日記] ワイヤーフレームの制作に励む

次回のミーティングに向けて宿題になっているワイヤーフレームの作成…。

ワイヤーフレームとは、ウェブの制作過程で、画面のレイアウトや構成を検討するための設計図だ。

我がチームの優秀なプロジェクトマネージャーは、とっくにワイヤーフレームの雛型を作成して、作業の分担まで指定し終わっていた。

それからもう一週間弱、仕事が急に立て込んだり、夜でかける用事が多かったり、昼休みでさえ約束が入っていたので作業する時間がなく、ズルズルと週末を迎えてしまったのだ。

なんとなく頭の中で構成は考えていたし、今までにワイヤーフレームを作成したこともあったけど、実際に打ち合わせの内容を振り返りながら画面を考えて行くと、

「あれ、これってたくさん書くことのある項目だっけ?」
「この内容の分類、大見出しになんだか合ってないよなあ」
「ここに載せるワークショップって、いったいどれくらい種類があるんだろう?」

次から次へと疑問が湧いて来る。

そして、どうも納得のいかない構成を前に悶々としていると、疲れてそのまま眠ってしまうのがオチ。

なんとか会社の昼休みの時間を使って、80 %のできにとどめてチームに提出。
他のメンバーはどうしたかな。まずは課題を終えてほっとする。今夜はよく眠れそうだ。

2010年10月6日水曜日

[プロボノ日記] 果たして中間提案へのフィードバックは…

打ち合わせ場所のサービスグラント事務所に約束の時間の 8 時を少しすぎて着くと、メンバー 3 人とオブザーバーとして事務局の入谷さんが待っている。

今日は、先日 NPO に出した中間提案書について、先方からもらったフィードバックを元にさらに具体的な内容をつめていく。もう次回は制作物の提案になるので、より現物に近いサイトマップやワイヤーフレーム(ウェブページのレイアウト案)を作成しなくてはいけない。

今日は決めることがたくさん!

それを見越して、われらのプロジェクトマネジャーはきっちりとアジェンダを事前に配布し、皆の意識を高めていた。

提案に関する先方からの質問や要望に一つずつ解決案を出して行く。そして、最難関は、NPOから強い要望のあった子ども向けのページだった。

ヒアリングでは、子どもがウェブで青い空のサイトを見る可能性は低く、むしろ親のための資料などがあった方がよいとの声を耳にしていた。でも、NPO 側は、長年アイディアを温めていたこともあり、子ども向けのページへの期待感は高まるばかり。

本当は、今回の新規ターゲット開拓という目的からすると、子ども向けのページというのは関連性は低く、優先順位は低い。しかも、どうしても普通のウェブページよりも凝ったものを想定しているため、工数もよりかかってしまうし、場合によっては他の制作過程を圧迫してしまう恐れさえある。

プロジェクトによくありがちな、本筋とは違うけれども、クライアントにこだわりがあって省略することができず、でもプロジェクトの中では一番手間がかかってしまう…というパターンだ。

ほんと、プロボノは普段のプロジェクトの縮図みたいなものだ。

その場に居合わせた事務局の入谷さんが、作業の進め方や NPO への提案内容について、要所要所で的確なアドバイスを出してくれる。

やはり、今日の一番の山場はサイトの構成づくり

ウェブの場合、必要なページにはリンクを張って、他ページとつなげることができるため、サイトの構成(ファイルの位置や属するカテゴリ)とは異なる、また別のつながりができる。そのため、システム構造的なページの流れと、実際にユーザがたどるページの流れが必ずしも一致しないので、ウェブ開発に慣れていない人には、普通のシステム開発よりも複雑に感じられてしまう。

ページを1つずつ付箋に書き出して、それを並べ替えて、ページの関連性や規模を考えながら、大まかな構成を決める。それをそのまま一覧にまとめれば、サイトマップの完成だ。

次に、各ページのテンプレートを決める。これは今までのサービスグラントのプロジェクトで作られた資料を拝借。こうやって、今までの知の体系が活かせるのは心強い…。

次回ミーティングまでに作成するワイヤーフレームの分担方法や、ミーティングの日取りを決めて、なんとか無事に今日の課題を全て完了。

私が上海で買ってきたブルーベリー味のポテトチップをつまみながら、片付けを始めると、もう時刻は 11 時に迫っていた。

今日もいい仕事をしたなあ、といい汗…ではなく、
ほどよい達成感を抱いて家路につく

ブルーベリー味のポテトチップス、味は普通のポテトチップスだけど、香りと後味が完全にブルーベリー! 

「ブルーベリーガムを食べながら、ポテトチップスを食べたような味」とは言い得て妙。
さすがわがメンバー、コピーライターの高橋氏。

2010年10月4日月曜日

シェリル・ウーダンが語る「21 世紀最大の不公平とは」



初めて TED でレビューを担当したシェリル・ウーダンさんのスピーチの日本語字幕が公開になった。

TED の翻訳プロジェクトのやりとりは、いつもメールだけのコミュニケーションなので、ともすると事務的なやりとりだけで終わってしまうことも少なくない。

今回翻訳を担当してくれたまりんさんとは、最初にレビューの依頼があった時から、今までとは違った流れで作業が始まったこともあり、お互い気遣いながら、人情味溢れる(?)やりとりができた。

プロジェクトが完了して、一緒に作り上げた字幕が公開になると何よりも喜んでもらえて、レビューを引き受けて本当に良かった…。

今回のシェリルさんのスピーチは、発展途上国における女性の教育問題。男性に比べ、どちらかというとお荷物扱いされ、虐げられてしまうことが多い女性も、教育や経済的支援を受けることで様々な可能性が開かれ、社会に貢献できるという事例を紹介している。

幸いにも、「学ぶことはよし」とされた環境で、私は高等教育まで受けることができた。
でも世界には、いや、同じ日本の中だって、家庭や健康の事情など、いろいろな理由で学校にいけない人もたくさんいる。

スピーチでは、教育の機会や経済的な援助を受けることで、全く違った新しい道を歩んでいくことのできた数々の女性が紹介されている。

ただ子どもをたくさん産んで育てればいいのでなく、出産年齢が上がり、子どもを少なく産むことになっても、女性も平等に教育を受けることで、むしろ社会を有効に営んでいくことができるとシェリルさんは、主張している。むやみに頭数を増やすだけの無秩序な社会習慣がさまざまな弊害を起こし、貧しい人、貧しい国は貧しいままになってしまう。

スピーチの後半で話しているように、途上国の援助は決して簡単ではない。ただお金を出し、建物や施設を建てるだけでは思ったように社会の中で有益には使われない。

「宝くじにあたった」我々ーー自分も何をできるだろう、とレビューをしながら考えさせられるスピーチだった。

2010年10月3日日曜日

「プロボノアンテナ vol.2」参加しました

前回に引き続き、今回も参加したプロボノアンテナ

いや、今回はただ参加するだけでは済まされず(!?)、
ゲストトークに出演するよう事務局より要請が。

事務局の大野さんを進行役に、NPO 側として、今までにサービスグラントのプロボノのサポートで団体の通信(会報紙)をリニューアルしたファミリーハウスの植田さんがスピーカーとして参加。そしてプロボノ実践側として、恐れ多くも私が参加することになったのだ。

プロボノによって、NPO にどんなメリットや変化がもたらされたのか、
一方、プロボノを行うスキルボランティアはどんなふうにプロボノを行い、どんな変化があるのか…。ゲストトークではその辺りを焦点にして対談。

ファミリーハウスさんは、難病の子どもとその家族をサポートするため、滞在施設を提供する活動をしている団体。聞くと、10 代から 90 代のおばあちゃんまで実に幅広い年齢層から多くの人がボランティアとして関わっているそう。

80 代のおばあちゃんが、施設のスリッパを磨きに来るだけでも「自分のやるべきことがあるから嬉しい」と話すことばが胸を打つ。

NPO からすると、プロボノで全くの異業種からボランティアが加わることで、ビジネスの立場やプロのスキル・知識から新しい知見が得られるだけでなく、団体に新しい風がもたらされて、メンバーの意識が変わったそうだ。

プロボノを実践する立場からすれば、自分がやったことについて、まっすぐに「ありがとう」と感謝のことばをかけてもらえるので、普段の仕事以上の嬉しい気持ちが湧いてくる。プロボノは、純粋に人に喜んでもらえることが原動力になる。

こうしたゲストトークの内容はワールドカフェでも引き継がれ、「プロボノに期待することは?」というお題の下、4、5 人ずつのグループでディスカッションが行われた。

ワールドカフェは最後に 2、3 の結論を出さなくてはいけない。私のグループはこんな 2 点にまとまった。

  • プロボノは楽しんでやれることが一番
  • 人と人とのつながりから、良い循環が生み出される

それにしても奇遇なのは、前回参加した時のブログの最後に書いたことば「何事もまずは楽しむことが一番。プロボノもね」が今回の結論とも重なっていたこと。

mixi や Twitter といった SNS のおかげで、朝食会や読書会、オフ会など、いろいろな集まりがあちこちで開催されるようになったけど、なぜかプロボノをキーワードに集まった人々とは、初めてでも深い話題を気持ちよく話せることが多い

プロボノの各プロジェクトでも、「たまに相性があまりよくない人が一緒にはなるけれど、決して悪い人は集まらない」と経験者は話していた。

ゲストトークあり、前回フェードアウトしてしまったワールドカフェを最後までできたり、前回よりもステップアップした会で充実した土曜の夜を過ごせたなあ。
主催の方々、参加してくださった方々に感謝。


【追記 2010-10-10】関係者、参加者のブログ記事を発見!

2010年10月2日土曜日

世代を超えた話題とは

お葬式があり、その次は納骨があり、祖母が亡くなると何かと親戚と会う機会が多い。

子どもの時から、私は親戚と会うのが苦手だった。
年の近い従兄弟がいなかったせいもあるけれど、お正月に親戚が集う場に居合わせなくてはならないのは、お年玉をもらうための試練のようだった。

でも、さすがにこの歳になって、世の翠も甘いもかじり始めて社交辞令の 1 つか 2 つも言えるようになってきたからか、久々に親戚同士で集まると、今まで知らなかったような発見もあって予想以上に楽しく感じられた。

世代も職場もバラバラな親戚同士で話す話題というのが面白い。

始めは故人の思い出話に花が咲くものの、次第に話は日常生活にちなんだ話題になってくる。我が家の場合、年配の方が多いので、最近忘れっぽかったり、耳が遠くなる話が多い。

そして話題は今日着ている服になる。

「これ、きちんとしたセットの喪服じゃなくて、下に着ているのは ◯◯ の T シャツなの」
「これもじつは自由ヶ丘の ◯X で買った靴なの」
と、恥ずかしそうにこっそりと、でもどこか自慢気に戦利品を暴露する。

こういう時、庶民的っていいなあと思う。

「どこどこの高級ブランドの〜」なんて言われるより、聞いていて微笑ましい。

それにしても、世代を問わず会話にのぼるユニクロの話題性はすごい。
つい、私も今年はヒートテックを買おうかと思ってしまった。

2010年9月30日木曜日

[プロボノ日記] ついに TED のレビュー完了

初めてレビューを担当した TED の翻訳について、翻訳担当者とのやりとりが完了。

Google ドキュメントで作ったファイルを dotSUB で読み込んで…
ところがエラーが出てしまって上手く行かない。

試行錯誤の末、もう一度 dotSUB で srt ファイルを作成するところからやり直す。そもそもこの時点でファイルがおかしい。「source」という列には元の英文が入るはずなのに、翻訳した和文が入ってしまっている

結局力技でファイルを作成して、やっと dotSUB で読み込む。
今度は成功!

過去に自分が書いた手順を参考にしたのだけど、リンク先を変えた方が分かりやすいかなと気付き、あとで修正。

レビュアーは翻訳プロジェクトの最後の段階なので責任重大。
これで翻訳完了のボタンを押してしまうと、もう再編集ができないので、もう一度動画を再生して、作成した字幕で問題がないか確認。

切れの悪い部分の単語を次に表示される文章に合わせたり、数字表記の統一モレを直して、ついに完了報告。あとは TED の事務局の方で最終確認と公開を進めてくれるので、晴れて日本語訳が公開になるまで待つだけだ。

翻訳担当のまりんさん、お疲れ様でした!

2010年9月22日水曜日

[プロボノ日記] ついに中間提案!

TED の初稿のレビューをやっと終え、今夜は 3 度目の青い空訪問。
今回はついに、今回のウェブリニューアルの提案内容を NPO に発表するのだ。

1 名メンバーが減り、そして仕事のためにもう一人も欠席。
プロボノチームから参加したのは総勢 4 名とサービスグラントの事務局の岡本さんだ。

金曜日の事前打ち合わせの通り、プロジェクトマネジャーが提案書を見せながら、他のメンバーが補足の説明も行う。一通り説明が終わると、矢継ぎ早に NPO のメンバーの方々から質問の嵐がーー

続々と押し寄せる反響に、嬉しくなったり、緊張する一瞬があったりしつつも、自分一人ではなく、他のメンバーもいることで気持ちが動じることはなかった。NPO の側から一生懸命質問をしてもらった分、提案をする我々も一生懸命それに答えようと、できうる限り最善の回答やコメントを返した。

それが上手く働いたかどうかは、相手側のフィードバック待ちだけど、終了したらなんとも感無量。

家についてもまだ興奮冷めやらない状態で、何とも形容しがたい高揚感。
なんだろう、この終わった後の高揚感は!?

勝手な思い込みかもしれないけれど、メンバー全員が全力を出して、そして互いを支え合った打ち合わせだった。互いに牽制し合うことなく、ごく自然に自分の担当すべき出番が来ると口を開き、鋭い質問があがると一番適任なメンバーが自ら進んで対応する…そんなふうに暗黙の内に互いをフォローしあえたのだ。

チームワークで絶妙なパスを決めたサッカーの試合、
あるいは、華麗なフリースタイルが紡ぎだされるジャズのセッションのよう。


こうした高揚感や満足感を最後に仕事で感じたのはいつだったろう
とてもいい夜を過ごせてよかった!

※中間提案の様子はサービスグラントのブログでも紹介されています。

2010年9月14日火曜日

[プロボノ日記] NPO への中間提案書作成中

いつまでもお休みモードでいるわけにもいかない。

私が旅行に行っている間やその直前にメーリングリストでやりとりされた内容を読み返し、他のメンバーがまとめてくれた提案書の叩き台を確認する。

メーリングリストのやりとりは決して多い方ではないが、
やはり久々にまとめて行うとかなりの量。しかも他のメールもたまっている…。

たまっていた宿題を片付けて、他のメンバーに追いつくことができた。
やっとスタート地点に立てた気分。

これから今月末に行う NPO への中間提案の内容をメンバーとまとめなくては。

プロボノ再開!

[プロボノ日記] TED で初めてレビューを担当

ネットの縁というのは不思議なものだ。

以前、ブログで TED の翻訳プロジェクトを Google ドキュメントを使って進める方法を紹介したら、なんとその記事を読んだ方から「ぜひ自分の翻訳した字幕のレビュアーになってほしい」というお申し出があったのだ。

仕事で英語を使うことはあっても、とてもプロで翻訳をしている方ほどのスキルはない私…。

一瞬とまどったけど、以前「翻訳に必要なのは語学力だけではない」という翻訳書の編集者の方のことばを思い出し、レビューを引き受けることにした。

それに TED のスピーチはどれも素晴らしい内容で、それを翻訳すればもっとたくさんの人が観ることができる。ところがせっかく翻訳しても、その翻訳をレビューする人がいないためにお蔵入りになっている翻訳がたくさんあるのだ…。

自分も、いざ翻訳が完了してもレビューを引き受けてくれる人がなかなか現れず、このまま苦労した翻訳が陽の目を浴びることはないのか、とヤキモキしてしまうことが度々あった。

そんなこともあり、初めて字幕のレビュアーを担当することに。

2010年9月9日木曜日

写真に映らないレンズの向こう

イギリス旅行から帰った翌日から、祖母のお通夜と葬式が続くことになる。

家に着くと、夏休みをさらに延ばす旨を職場に連絡したり、たまった仕事のメールに目を通したり、旅の後片付けをしたり、洗濯をしたり…。

そうこうしている内にウトウトしてくる。

無理もない。帰りの飛行機の中では、できるだけ時差を解消しようと、我慢して映画も観ずに体を休めるよう努力したけど 12 時間のフライト中はほとんど眠れなかったのだ。一番心地よく眠れたのは、成田からの京成線の中かもしれない。

慌ただしく迎えたお通夜の当日、おばが今までに撮影した祖母の写真をいろいろと持ってきてくれた。家族は棺に入れるため、私がいない間にお正月の家族の集合写真を焼き増ししていた。

そんな思い出の写真を観るうちに、私も明日の出棺までに棺に入れられるよう、今まで撮った写真を探して来よう、と思い立った。

ここ 8 年は、祖母は老人ホームに入っていた。
正直、あまりよく出来た孫でない私が会うのは多くて年に 3、4 回程。そのうちカメラを持参していったのはお正月の時ぐらい。

デジタルカメラを使うようになってから、データは皆ハードディスクに保存したので、まずはそれを探し出すところから。きちんと全てを整理していない私は、探し出すだけで一苦労。

留学時代にロンドンで撮影した膨大な写真を漁っていると、時に思い出に浸りそうになりながら、その山の中から、祖母の映った写真を探し当てた。

留学の合間に帰国した際に撮った写真、留学を終えた後に撮った写真、完全に帰国した後に撮った写真…と出てきたが、どうしても見当たらない年もある。睡魔と疲労が襲って来るけれど、どうしても明日の告別式までにやらなければいけない!

結局、2007 年と 2008 年の正月の写真はお手上げで、どうしても出て来なかったが、棺に入れたり、おばにあげるために、発掘した写真を一覧やスナップショットとして印刷した。

自分が撮影した写真も、おばが撮影した写真も、まだ元気な頃の写真だとにっこり微笑んでいる。もうここ数年は孫の私の名前も思い出せなかったけれども、どの写真も撮影する側への視線が感じられた。

たとえまっすぐ前を向いていなくても、カメラを向けている側への愛着や親近感が写真を通して感じられるのだ。そして逆にカメラを持つ側も、被写体に向けた愛情をもって撮影していることが写真か感じられる。

私の写真の腕前なんてたかが知れているけれども、この両方の親密な空気が、写真の上に溢れていた。

カメラのレンズを挟んで対峙する被写体と撮影者
それはカメラのレンズを間にした愛情のやりとりかもしれない。

写真を作品として観ていると、ついそこに映った像の形や色ばかりに気をとらわれてしまうけど、本当は写真と言う一枚の薄っぺらい紙面には、映っているものの他に、撮影者というもう 1 人別の人の存在がある。この 2 つがあって初めて写真は成り立つのだ。

家族の写真を見ながら、そんなことを改めて思い知らされた。                                                                              

2010年8月20日金曜日

[プロボノ日記] 幼稚園の先生にヒアリング

金曜日の会社の帰り道、浜松町のコーヒーショップで待ち合わせた幼稚園の副園長先生と第1回目のヒアリング。

メンバーで用意したヒアリングシートを元に、今までにCAPのサイトを利用したか、何がきっかけでCAPを導入するようになったかを質問。

同じ系列の小・中学校ですでに採用していたことが、CAPの導入の大きな理由だったため、想定していたこととはいえ、ヒアリングシートで事前に用意した質問からはあまり役立ちそうな情報は得られなかった。

そこで、今の青い空さんのホームページを紙に印刷したものを見せて、現在の掲載内容や、学校がCAPを導入したくなるためにどんな内容があったらよいかを質問。

話していて分かったのは、今はCAPが日本に浸透して、団体がたくさんあるけれど、逆にあり過ぎてどの団体にワークショップをお願いしたらいいのか分からないという悩み。

CAPのプログラムはどこも共通の内容を大元に持っているため、青い空さんのような長い実績のある団体は、そのことが他の団体との差別化につなげることができそう。

つまり、CAPの場合、もし何か起こっても、「それはあなたの落ち度だったんじゃない」と受容してくれる懐の広さがある。自分を責めない、正解が1つではないという考えが根底にあるのだ。

このような「受け止められる心地よさ」も、とくに傷ついた心にはありがたいものかもしれない。

先生は、CAPが他の防犯教室と異なる点も話してくださり、
地域の警察が行う防犯教室では、寸劇などで具体的な対策方法やノウハウの紹介にとどまるのに対し、CAPは精神的・哲学的な背景にあるのがよいそうだ。

掲載するテキストや画像などにも具体的なコメントをいただけたので、最終的に有益なヒアリングとなった。

これでメンバーにも報告できることがある! 

「ひとり」のスゴさ

今のプロボノのプロジェクトをやっていて、企画からヒアリング、設計まで、
ウェブサイトを作るのに必要な一連のタスクをこなしていく。

一人だと大変で途中で投げ出してしまいそうだけど、
一緒にやるメンバーがいて、一人だけじゃないことが分かると、心強く思えてまた続けられる。

そんなふうに、他の人と一緒に行うことで、実際の作業も精神面でも負担が軽くなる。

逆にそれを全部一人でやっている、やれてしまう人もいるわけで、
そんな人が改めてスゴく思えてきた。

2010年8月19日木曜日

[プロボノ日記] 出版社にテレアポ

火曜日に連絡が取れなかった、ヒアリング先のアーニ出版に再度チャレンジ。

アーニ出版は、性教育や安全教育のための教材を手がけている出版社。
仕事の合間に電話をかけると、運よく担当者の方につながった!

しかし、話し出すと、今回のプロジェクトの内容がうまく伝わっていなかったようなので、ウェブのリニューアルについて、プロジェクトの大元から説明。

そうすると、

 「CAP はだいぶ前にちょっと勉強しただけだから…」
 「私、ウェブのことは全然分からないから…」

と及び腰になってしまった。

私が、青い空の活動がもっと広い方に認知されるよう、同様な活動をしているアーニさんの視点から、ウェブの技術的なことではなく、アプローチ方法やウェブで伝える内容について伺いたい旨を伝えると、俄然調子が変わってきて、先方の活動内容を話してくれた。

印象的だったのが、「教材を持っているのが強みになる」の一言。

そのこともあってか、アーニさんのところには毎週のように、教師や看護学校の学生や障碍児まで、いろいろな層の方が来て講習を受けているらしい。

アーニさんはおもに性教育に関する活動をしているが、その延長で児童虐待にも内容が及ぶこともあり、昨今は子どもへの性暴力も増えているため、その辺りを青い空さんにも取り組んでほしいとのコメントもいただけた。

活動内容を知るには、会社で行っている講習を見学するのが一番いい、と話が止まらなくなってくる。しかし、講習はどれも平日の午前中…。

夏休み前でいろいろ片付けておくことはあるけれど、何とか半休を取って参加しようと、受話器から漏れてくる熱心な声を聞いたら決意がかたまっていた。

講習に参加をして、その前後にヒアリングをさせてんもらおう。もし時間が足りなかったり、仕事で参加できなくなったら、メールか FAX でヒアリングシートをやりとりすればいい。

そんな感じで、予想外のアポ 2 件目が決定した。

※子どもが自分を暴力から守れるように、アメリカで考案されたプログラム「Child Assault Prevention」の略語。

2010年8月17日火曜日

[プロボノ日記] ヒアリング部隊に加入

メンバーからの連絡を待って一夜が明ける。
結局、もう1人のマーケッターは都合がつかなくなってしまい、ヒアリングを断念。

担当がいなくなってしまったヒアリング先をプロジェクトマネージャーと私が手分けして分担することになる。

期間は今月以内。私が割り当てられたのは、青い空さんの活動にも理解の深い出版社の方と幼稚園の先生の計2名。ヒアリングのアポを取るため、あらかじめ聞いておいた連絡先に電話をかける。

出版社に電話をするが、誰も電話に出る気配がない。
その会社のホームページを見ると、明日まで夏期休業になっているらしい。
これは木曜日以降に再チャレンジすることにする。

幼稚園の先生の実家にかけると、旦那さんらしき方が出る。
でも、残念ながらお目当ての先生は留守。改めて夜にかけ直すことにする。

何より時期が悪い。

なんと言っても、皆さん夏休みシーズンだ
すでに先陣を切ったマーケッターが昨日メールしてきた文面からしても、電話でつかまらなかったり、予定が決まらなかったり。

それにしても、こうして見ず知らずの相手にアポ取りの電話をかけていると、劇団時代に営業でテレアポをしていた頃を思い出す。

テレアポと言っても、かける相手は全国の中学校・高校。
当時私が所属していた劇団は、本公演以外の学校公演で収入を得ていたので、そのために劇団員が駆り出され、全国のめぼしい学校に片っ端から電話をかけていた。

当時は、公演と公演の合間に行われる定例行事が嫌いだったが、芸術鑑賞会担当の先生宛に電話をすると、相手はビジネス慣れしていないせいか、いろいろとユニークな反応があった。

定期試験や学園祭だから対応するのが難しいと言われたり、先生が職員室に見当たらず、ついには校内放送で先生が呼び出されたり(その間、電話の保留音はないので、全部筒抜け)ということもあった。

そんな思い出に浸りつつ、夜もう一度電話してみると、
やっと幼稚園の先生ご本人とつながり、金曜日の夜に浜松町で落ち合うことになった。

よかった、アポが一件確定。

その後、他のメンバーの進捗をメーリングリストで読むと、やはり夏休み中で連絡さえとれないらしい。そんな中、「がんばっていきましょう!」とプロジェクトマネジャーの励ましの声があったり、なんだか営業部にいるような気分だ。

また明後日チャレンジだ。

2010年8月16日月曜日

[プロボノ日記] 思いがけない展開

ここ最近の私の関心ごとと言えば、イギリスの空港職員のスト協議
このストが決行されてしまうと、まさに今月末の私の夏休みの計画がパーになってしまうのだ。

もう 1 つの関心ごとは、今抱えているプロボノ プロジェクトの進み具合

今は提案書の作成に入る前のヒアリング期間。
ところがこのところ、ヒアリングを担当するマーケッター役のメンバーの連絡が途絶えがちなのだ。

最初の顔合わせの飲み会で、途中でプロジェクトをやめてしまう人がいることを話したけれど、まさか実際に同じような危機について考えることになるとは思わなかった。

もしかしたら 1 人離脱するかもしれない。
いや、ことによったらあともう 1 人も…。

しかもまだ始めの段階に。
プロボノも甘くないんだな…と勉強になる。

メンバーが発言しやすいようにこちらからもメッセージを送りつつ、連絡を待つ。

と、マーケッターの 1 人から進捗を知らせるメールが。
よかったー!

引き続き、あともう 1 人からの連絡を待つ。

2010年8月15日日曜日

[プロボノ日記] Google ドキュメントをTEDの翻訳に使う方法

今回も担当者が決まるやいなや、翻訳のレビューが開始。

前回、レビューのやりとりに Google ドキュメントと Gmail を使って感心したが、最近の日本でのレビューはもっぱらこの方法をとるらしい。

TED の翻訳がスムーズにできるように、TED のシステムと Google ドキュメントを連動できるツールを perl で作った奇特な方がいるのだ。

このページを見ると、srt2CSVCSV2srt というウェブツールを使った方法が動画でも紹介されていて分かりやすい。


簡単に手順を説明すると…

<Google ドキュメントでレビューを始める準備>
  1. TED の動画に字幕を作成する dotSUB 上で翻訳文を入力(あるいは2のダウンロードしたファイルに直接翻訳文を入力)
  2. 翻訳が完了したら、dotSUB から .srt ファイル をダウンロードし、テキストエディターで開く。
  3. すべてを選択して、コピーを選ぶ。
  4. srt2CSV にペーストし、「SUBMIT」ボタンを押す。
  5. CSV 形式 に変換されたコンテンツをすべてコピー。
  6. テキストエディターで新しいファイルを開き、ペースト。
  7. ファイルを .csv ファイルとして保存。
  8. Google ドキュメント のメニューの「File」→「Import」で保存したファイルを読み込む。
  9. Google ドキュメントで一緒にレビューをする人が参照できるように、ファイルの共有を設定する。
  10. レビューの準備が完了。

<Googleドキュメントでレビューのやりとりをする> 
  1. 気がついたことを 「comment」欄 に記載(誰のコメントか分かるように「A:」のように イニシャル を記載。
  2. 記入したセルに色をつける。
  3. 翻訳者がレビュー担当者の書き込みを確認。
    さらにコメントがあれば、「comment」欄に、自分のアルファベットをつけて追記する。
  4. 翻訳文を修正する際に、元の文章を 「history」欄 にコピーして残しておき、「target」欄 の翻訳を更新。
  5. レビュアーが問題なければ、完了のしるしとしてセルの色をグレーにする。
と疑問点がなくなるまで、レビュー担当者と翻訳者で繰り返す。

<Google ドキュメントの内容をdotSUBで読み込む>
  1. Google ドキュメントで作業したファイルを「File」→「Download」を選択し、.csv ファイルとして保存。
  2. テキストエディターで保存したファイルを開く(エンコーディングで 「UTF-8」 が選ばれているようにする)。
  3. 開かれたファイル上のテキストをすべて選択して、コピー。
  4. CSV2srt にペーストし、「SUBMIT」ボタンを押す。
  5. .srt 形式 に変換されたテキストエリアをクリックして、すべてを選択してコピー。
  6. テキストエディターで新しいファイルを開き、ペースト。 
  7. ファイルを .srt ファイルとして保存(ここでもエンコーディングで 「UTF-8」 が選ばれているようにする)。
  8. dodSUBの翻訳ページから 「Import an existing translation」 を選んで、保存した .srt ファイルを読み込む。
  9. 最終確認をして、翻訳完了の通知を dodSUB から出す。

文章にして書くと長い道のりだけど、Akira.K さんのページでは動画で分かりやすく説明されている。

おかげさまで、TED の翻訳の過程がとても便利で分かりやすくなった。
ありがとうございます!

2010年8月13日金曜日

日本も規格づくりに参加した ISO26000

お盆で夏休みな人も多い今日は、いろいろたまったメールや資料を整理する。

いつも楽しみにしている藤井敏彦さんの「CSRの本質」でためてしまった記事を読む。

この回は「続・社会的責任ISO26000私評:ガイダンスという名の規格」と名がついている通り、長らく協議が難航していた CSR の規格、ISO26000 にふれられている。

ISO26000 という国際規格の策定のために、各国から企業や行政だけでなく、消費者や市民団体などからも代表が出て、草案作りを続けてきた。それが始まったのは、まだ私が前職についていた時だから、かれこれ 3 年以上も経っていることになる。

関係者が多い分、協議を何度重ねても思うように進展しなかったが、やっと今年中に成立するらしい。

かたや、巷で電子書籍が流行っているが、黎明期であるが故にやれ Apple だの Amazon だの、電子書籍のフォーマット争いが絶えない。かといって、これを放置していけば、利用する消費者にとっても、コンテンツを供給・制作する企業にとっても、閲覧する機器を開発する企業にとっても、多岐にわたるフォーマットを網羅することは不便この上ない。

すでに電子書籍も共通のフォーマットを模索するコンソーシアムが動き始めているようだが、やっと重たい腰を上げたばかりの日本企業はどうも後ろ手にまわってしまっている。それどころか、元々他国と協議して何かを生み出していくという習慣がないために、お得意の技術で独自のフォーマットを開発しようとさえしている。

「ガラパゴス」と自ら揶揄する日本の携帯業界のごとく、電子書籍も独自のスタンダードを築くことで、どんどん内政化を進め、ひとりぼっちになりかねない。

「今、日本は規格作りに加わるべきだ」

そんな発言を耳にして、久しぶりに ISO26000 の記事を読むと、やはりこの規格は、日本もその創設に加わったことの意味を改めて考えさせられた。

もちろん、 他の規格と違って「ガイダンス」と位置づけられている ISO26000 は、制裁や罰金を科す他の規格に比べて拘束力が弱い。でも、その作成に日本からも様々な層の人々が加わったことに大きな意義がある(ドラフト作成の過程でもその点を参加者は強調していた)。

規格のドラフト案作成に加わった参加者の方々による報告会へも何度か足を運んだことがあった。

国際規格をつくる過程で、他の参加者が見せた積極さ、多くのステークホルダーと話し合いを進める巧みなリーダーシップ、遅々として進まない協議への苛立ちなど、発見や驚き、ためらい、とまどいなど、様々な感情のつまった生々しいレポートを聞く機会を持てた。

もどかしい思いもあるかもしれないけれど、国を超えた遥かに大きな舞台で何かをつくりあげていくことの困難さを実感できたことは大きい。その経験がこの規格の策定だけでなく、今後いろいろな場で生かされていけばいい。

ズブの素人のつぶやきに過ぎませんが、参加した方々は本当におつかれさまでした!

参照:
藤井敏彦の「CSRの本質」 「続・社会的責任ISO26000私評:ガイダンスという名の規格」

[プロボノ日記] 翻訳レビュー担当者、ついに現る

先月末に終えてから、レビュー待ちになっていた TED の翻訳に、レビューを担当してくれる方がやっと決まる!

「やっと」と言っても、ネットで誰か私の翻訳を見つけた人が志願してくれるのを待つしかないのに、提出してから 2 週間以内にレビュー担当者が決まったのだから、今回は早い方だ。

TED のプロジェクトはただ翻訳しただけでは完了せず、最初の担当者が翻訳した字幕が別の人にレビューされてやっと完了する

そのため、せっかく翻訳をされても、レビューをしてくれる人がおらず、お蔵入りになっている字幕も少なくない。無事に自分が翻訳を終えても、レビューの担当者が決まるまではお蔵入りの可能性は高い。だから、担当者が決まるとやっとほっとできるのだ。

とはいえ、レビューをしてくれる方とのやりとりが始まる。
今度はどんな方と一緒に作業を進めていけるのかまた楽しみ。

2010年8月11日水曜日

[プロボノ日記] ついに日経夕刊に登場

つい 2 週間前に朝日新聞の社説で取り上げられたプロボノが、今夜の日経新聞の夕刊で取り上げられていた。

「職場経験生かし社外ボランティア」
「プロボノで若手育成」

といった見出しが示すように、企業で取り入れているプロボノを紹介。今までに WBSNHK でも登場した NEC や IBM といった企業名が並ぶ。

そしてここでも登場するのが、プロボノをする上で、参加者と支援される側とをつなげる役割を果たすサービスグラント

そして、朝日新聞の社説にも登場した「二枚目の名刺」がここでも登場。
イギリス留学者が意気投合して活動を始めた団体ということで、同じ英国留学経験者としては気になる団体。残念ながら、私が留学している頃には知らなかったけど…。

今までの記事になかった記述として面白かったのはこの箇所。

(NPO や社会起業家の)立ち上げ時の人材不足や資金難の解決に、プロボノは大きな力となるだろう。ただ、一種のブームとなる中で、「ビジネス理論を押しつける人もいて、対応に苦慮することもある」とある NPO 法人の代表は明かす。

日本経済新聞 夕刊 2010 年 8 月 10 日

ビジネスのシーンでもこういうことは多々ある。
「仕事をあげる — もらう」「お金を払う — もらう」という関係で、ムズムズしながらも誰かが気持ちを抑えてなんとかなってきた部分だ。

それにしても、プロボノが「一種のブーム」として社会的に認識されているのか…。
そちらの方が意外で、私としては嬉しい驚き。たとえブームでも、これが静かに長く続いてくれればいいや(笑)

2010年8月9日月曜日

久しぶりのランチボックス

オフィスのお昼事情というのは、そのご時世をよく表すものらしい。

会社の上司が投資で大損をした時は、電気ポットにカップラーメンのお湯を注ぎに来る彼の姿がしばらく続いた。

最近は「お昼食べにいく?」と声をかけると、「お弁当を持ってきちゃったんだよね…」と断られることがしばしば起こる。今まで面倒臭がってお弁当は愚か、自炊さえ怪しかった人までだ。

私が敬遠されているのではないと信じているけど、昨今のお弁当持参率は、自分の職場だけでなくどこも一様に高い。そのためかオフィスビルの休憩室はお弁当女子や男子が溢れて、とても座る場所がない。

そんなことがあったり、先週ご馳走になったサンドイッチで意を決したのがきっかけで、今日は久しぶりに手作りのサンドイッチを持参した。

前日に仕込んだツナスプレッドとデザート用のグレープフルーツを元に、朝起きたら作成開始。あやうくお弁当を作っていて、遅刻しそうになりながらも、手作りのサンドイッチとフルーツヨーグルトを抱えて家を飛び出した。

お弁当はたまに持参してきたけど、栄養のバランスも良くなるし、自分で作ったことで満足感もあるし、お財布にも優しいしで、いつも嬉しくなる。

今週はがんばってランチボックスを続けます!

今週の密かな挑戦。

2010年8月8日日曜日

[プロボノ日記] 予想外に忙しくなる時も

ヒアリング先もほぼ確定し、いよいよヒアリング開始も近くなってきた。

チームでヒアリングを担当するのは、2 名のマーケッター。
ところがちょうど週末やお盆休み近くなってしまったのか、担当者からの連絡が滞りがちになる。

どうもマーケッターの 1 人が、予想以上に家庭の事情で忙しくなってしまったらしい。またヒアリングの実施について、どうも納得のいかない点があってメンバーと共有したいのだそうだ。

まだプロジェクトのはじめの段階でスケジュールが遅れると、その後の工程がだいぶ押してしまうことになる。それを考えると、ヒアリングは遅くとも今月中に終わらせたいところ。

私でも何か手伝えることがあるかな…

ヒアリング先の1つが自宅から近いので、代わりに行こうかと申し出たり、メンバーからのコメントを待ったり。

私にできることはメーリングリストでもできるだけコミュニケーションを取るようにすることかな。

上を向かないで、前を向いて

知人のイラストレーターさんは、どんなに自分が売れるようになっても、どんなに単価が低くても、昔駆け出しの頃に大事にしてもらった出版社さんを今でも大切にしているそうだ。

「いつか仕事をお願いすることになるかもしれないから」と、
かつて営業まわりで手渡しておいたポートフォリオを背表紙がボロボロになるぐらいまで取っておいて、後になって仕事を与えてくれた会社。

その茶色くなった背表紙を目にしたら、彼女は涙が止まらなかったらしい。

とても素敵なお話で、私もどんなに変わっても、今までにつきあってきた人々との関係は大切にしようと改めて思った。

そんな彼女がもう 1 つ話してくれたのが、
「上昇志向で上にばかり進もうとするのではなく、前を向いて進んでいった方がいい」
ということば。

ヨガの先生が教えてくれたというそのことばを聞いて、こちらもどこか肩の荷が下りてホッとした。

2010年8月6日金曜日

ひとりサマータイム

昨日は、朝家を出る直前に「あれ、いつもより一時間早いや」と気がついて、ちょっとした片付けなどをしてから出かけ直した。

今朝に至っては、最寄りの駅で

 「あれ、電車の時間が変わったのかな」

と思ったものの、そのまま電車に乗り込んだ。するといつもの比でないほどの混雑ぶり。

 「いったい今日は何かあるのかなあ?」

と車内で押しあい圧し合いされながら、乗り換え駅の青山一丁目まで電車に乗る。
会社の最寄りの勝どき駅に着くと、いつもと比べて人が多くて、地下駅から地上に出るまでが一苦労。

 「今日はどこもおかしいなあ」

と会社のビルに向かう。そして、広場にある時計でやっと全ての原因を理解することになる。

 そう、私はいつもより一時間早く通勤していたのだ!

私は始業時間が 10 時なので、いつも 8 時台のピークが終わった後に電車に乗る。電車のダイヤが違っていたのも、最も混雑する 8 時台だったから電車の本数が多かっただけなのだ。昨日といい、今日に至っては会社に着くまで気がつかず早起きしてしまうとは、なんという間抜けぶり。

このまま会社に直行するには早すぎるので、コーヒーショップで一休みしてから職場へ向かうことにする。店内に入ると、同じように出社前の時間を過ごす人でにぎわっていた。しかも、皆何かしら勉強をしているのだ。流行りの朝活、ここ勝どきでは勉強に使う人が圧倒的に多いようだ。

前の日から予定して頑張って早起きするのも得した気分がするけれど、思いもかけず早起きをするともっと得をした気分になる。

そんな訳で、このところ ひとりサマータイム を続行中。

今回つくづく思い知ったのは、朝忙しい時には、デジタル時計の右側の「分」しか見ていないということ。普段、まさに分刻みな慌ただしい朝を送っていたんだと思い知らされる。
ちょっと反省。

2010年8月5日木曜日

手作りのサンドイッチ

昨日のプロボノの打ち合わせは、ちょうど夕飯時のミーティングだったので、伺った青い空さんが手作りのサンドイッチで出迎えてくれた。

幼稚園か小学校の時を思い起こさせるような、プラスティックの入れ物に入ったハムサンド。
さらに夏ミカンとバナナ入りのフルーツサンドまで用意してくれたのだ。

コンビニで買うのとも、パン屋やカフェで買うのとも違う、作った人をもっと身近に感じられるサンドイッチ。やっぱり手作りっていいなあ、と思う。

自分の食べるものは、自分の手で作ってみよう、と思い直した日。

2010年8月4日水曜日

[プロボノ日記] いよいよヒアリング先確定へ

今日は二度目の青い空さんでのミーティング。

前回の内部ミーティングの検討内容をまとめて、プロジェクトリーダーから NPO へ今回のヒアリングの目的と具体的なヒアリング先を提案。新しいユーザを得るためにサイトを良くすることで、既存のユーザにとっても良いサイトにするということで互いに合意しながら話を進める。

内部ミーティングのディスカッションにもあったように、新しいターゲットの企業と大学にヒアリングを行いたいので、どこか紹介してもらえないかとお願いする。今までに接点のなかった層に接触することで、ウェブサイトを作る上だけなく、新しい関係やもしかしたらコラボレーションも生まれるかもしれない。

青い空のメンバーの方々は、昔の取材された記事が載った雑誌や新聞、書籍などをひっくり返して、いろいろな候補を探してくださる。ひとまずは先方の宿題ということになる。

その逆に、時間の制約もあり、ヒアリング候補者の中でも、同じ分野・立場で重複していた人物ははずしたが、「どうしてもこの人は行った方がいい」という青い空さんたっての希望で、再びヒアリング先に加わった方もあった。

こうして互いの希望や意見を交換していき、青い空さんの宿題となっている部分は除くと、ヒアリング先はほぼ確定。もう 8 月に入ってしまったけれども、なんとかマーケッターさんが今月中にヒアリングを完了させなくてはならない。

ミーティング後、日常で使われることばについて、興味深い話をうかがった。

新聞やテレビなどの報道で暴力について使われることばは、その使い方によって読者や視聴者の捉え方を曖昧にし、 時として意味を歪めてしまう場合もあるということだった。

例えば、
  • いたずら   → 被害者にとっては、いたずらで済む内容ではない。
               「性暴力」「わいせつ行為」と明言すべき。

  • 幼児性愛者 → 「愛」ということばが入るべきではない。
               「~暴力者」「~虐待者」が妥当。

  • 近親相姦  →  「相(お互い)」ではなく、必ず一方が加害者。
「近親相姦」というと昔の文学で、閉鎖的な社会を舞台によく描かれるが、ここで言う近親相姦とは、「あわれ彼女は娼婦」のような、双方が愛し合ってというのとは違うものだ。

青い空の事務局の方は、こうした不適切なことばが物事を曖昧にし、被害者への共感を妨げることがないようにメディアに提言しているそうだ。自分が活動に関わることで意識が変わってから、普段目にすることばの意味を捉え直すようになったそうだ。人は意識の持ち方でいろんなことに気が付くようになるんだな…。

2010年7月31日土曜日

[プロボノ日記] ラストスパートで翻訳提出

企画書にプロボノにセミナーにとかまけていたら、またもや TED の翻訳の締め切りが迫ってしまった…。

今回こそは、翻訳を申し込んだら、すぐに取りかかって(←ここまでは良かった)、毎日継続して早期提出をするはずだったのですが。

でも、延長期間を使わなくても、当初の締切までには提出できたので、ちょっと前進ということで。

今月、自由大学で受講していた「編集思考で出版ビジネスを実現させる」で、翻訳書を担当したことのある編集者の方が、翻訳は「語学力よりも文章力」ということばを励みに、スピーカーの発言のニュアンスを捉えるように心がけた。

今回は短め、しかも私が好きなトピックだったので、大部分は半日で翻訳。これからどんなレビュアーの方が担当してくれるのか、すぐにレビューに入れるのか、いつものごとくドキドキしながら待つとしよう。

内容はまだ秘密…公開したらお知らせします!

2010年7月30日金曜日

[プロボノ日記] 本日も助け合い MTG なり

夜 8 時から、渋谷のサービスグラントの事務所をお借りして、わが青い空チームのミーティング。
全員の中間地点をとると、渋谷が一番利便性が高く、そこに無料で使える事務所があるのはありがたい。

今日はウェブサイトの制作に入る前のヒアリングについて、最終打ち合わせ。

金曜日の夜で体力が持つかなあ…
という心配はよそに、いざ始まると、そんな心配はどこ吹く風。

水や缶コーヒーの差し入れがあったり、私もいただきもののバームクーヘン持参で、皆で英気を養いながらのディスカッション。

これまでの経緯で、NPO 側で提案してくれたヒアリング先だけでは、新たにアピールしたい企業や大学といった方面の方々が網羅できていない問題と、現実的なヒアリング先の数の選定が主な議題。

NPO に新たに支援、参加してほしいターゲットを考える。

「そもそも団体の活動の見せ方、アピールの仕方に問題があるのでは?」

「団体がターゲットに適した内容を提供しているのか?」

「ウェブのリニューアル以外にも、PR する方法を考えて実施するべきだ」

ターゲットに対するアプローチ方法や、NPO の活動の手法にも関わってきて、ディスカッションはウェブ制作という範疇を超えた、深い論点にまで至る。

最終的に、今回の目的は「新しいウェブサイトを作ること」というところに立ち戻り、今回自分たちがすべきことに線を引く。

来週の NPO さんの打ち合わせで提案できるよう資料作成。

メンバーが iPad で使っていた iBrainstrom に注目して、各ターゲット層を優先順位とコンタクトの取りやすさなどを指標に、見込みコレスポンデンス分析の図にまとめる。

こうして、手を動かして、目の前で何かが出来上がっていく過程を見ると、作業への興味も俄然高まっていく。リーダーがミーティングの先導役として進め、個々のターゲットをあげていくのに、私が持ってきた大きめの付箋も貢献でき、1 人 1 人が補い合って、今日もいいミーティングができた。

プロボノのチームでコラボをすると、普段一緒の土台で仕事をすることがないメンバーから、いろいろ学ぶことができる。

金曜日の夜、終業後の濃い 2 時間。

2010年7月26日月曜日

[プロボノ日記] 新規ターゲット層をつかむには

メンバー 6 人が毎回会うのは難しいため、通常は、連絡に Google のメーリングリストを使って情報共有。

先週のキックオフミーティング後、NPO 側から提案されたヒアリング先に、マーケッター(制作前のヒアリング担当者)が疑問をもつ。

団体の今までの主な協働先は行政が多かった。
先日のミーティング時には、行政は時世や担当者など、その時々の状況によって方針が変わりやすいので、新しい協働先として、今までと違うルートを開拓したいという要望を聞いていた。

しかし、実際にもらったヒアリングリストには、団体の支援者やメンバーなど、すでに団体に近い存在の方がほとんどで、新しくアプローチしたい層に属している方がいないのだ。

通常のマーケティングであれば、新たにターゲットとしたい層にこそヒアリングをする。だから、今回の気づきはとても大切。

最初は若干の緊張感の中、一人の気づきの発言が、水面に投げられた石となり、「僕もそう思った」「私も何かしっくりいかなかった」と、水面の上に波紋を広げていく。

メーリングリストでの意見のやりとりが始まる。

2010年7月21日水曜日

[プロボノ日記] NPO との初顔合わせ

火曜日に、NPO 側と初めての顔合わせとなるキックオフミーティングを開催。

今回、ウェブサイトのリニューアルを担当するのは、『NPO 法人青い空-子ども・人権・非暴力』という NPO 団体。

児童虐待やいじめなど、子どもに関わる残虐な事件が後を絶たない昨今、子どもに対する暴力を防ぐために様々なプログラムを実施している団体だ。

サービスグラント側からわがチームメンバー 6 名と事務局の入谷さん、そして青い空のメンバー 7 名の総勢 14 名が、NPO の事務所がある大山の事務所に集い、夜 8 時からのミーティング。

今後の進め方や担当者を確認。
事前にサービスグラントが行ってくれたヒアリングシートを元に、新たにアプローチしたい層や、ステークホルダー、次の段階のヒアリング先について情報を集める。

NPO の方々とのお付き合いで少し気をつけねばならないのが、距離感の取り方

まず、たいていがマンションの一室にある事務所など、個人宅を訪ねるような雰囲気の中で打ち合わせを重ねる。そうすると、ついオンとオフの境目が曖昧になっていき、相手に同調するようになってしまったり、流されてしまいがち。

また、NPO の方々はあまり飾らず、気さくな頑張り屋さんが多い(私の個人的な経験値です)ので、段々と身内に近くなって、元々 NPO サイドから求められていた、外部の視点を持てなくなってしまうこと。

私自身、「社会貢献のため」とか、「日本の社会が良くなるために」なんて大義をもっているわけでなく、もっと個人的な好奇心からプロボノをやっている。

そうであっても、プロボノで関わる以上、単にその NPO の活動に共感して支援するというだけではなく、むしろ全くの外部の者として、客観的な視点で気がついたところをサポートしていければいいのではないか。

この日も、危うく流れて行きそうなところで、
きちんとプロジェクトマネジャーが冷静に話を進行してくれた。

もちろん、お互いの相性はあるし、打ち解けあうことでスムーズに進めて行くこともできるんだけどね。

いや、これはいいことか、それとも問題点か?
ビジネスと一緒。慣れ合いだけではいい仕事はできない。
クライアントとは付かず、離れず。

これから、プロボノチームと NPO とで良いバランスを保ちながらプロジェクトを進めていきたいものです。

プロボノとは

プロボノとは、「公共善のために」を意味するラテン語の "pro bono publico" という語源の通り、社会人が専門知識やスキルを活かして社会貢献するボランティア活動のこと。

欧米では、弁護士が行う無料の法律アドバイスやサポートが有名だが(アメリカの制度では、弁護士がプロボノに従事することが定められている)、プロボノが網羅するのはもっと広範囲だ。経理・人事・IT・コンサルティング・マーケティング・PR など、多種多様な分野に及ぶ。

プロボノはまだ日本の社会では馴染みのないことばだが、日本でプロボノを推進する NPO 法人「サービスグラント」が『2010 年はプロボノ元年』と銘打ち、2009 年 12 月にプロボノフォーラムを開催。それを皮切りに、徐々にマスコミの注目を集め、2010 年 4 月にはプロボノ・サミットを 2 日間かけて開催。企業・NPO・ボランティア希望者それぞれに向けた情報を提供し、好評を博した。

同年 4 月にはテレビ東京系列の「ワールドビジネスサテライト」、7 月には NHK の「クローズアップ現代」で取り上げられるなど、社会における注目度はじわじわとあがってきてる。

日本でも、プロボノの実践者が増えることで、もっと社会が生活のしやすい場となり、一人一人が社会とのつながりを意識して生き生きするようになってほしい。

【参照】

雑巾を縫いながら想うこと

連休最終日の夜遅く、私は雑巾を縫っていた。

今まで使っていた雑巾は、使い込まれてすでにボロボロで、
気持ちよく掃除をするには、どうしても新しい雑巾が必要だったのだ。

古タオルを半分に切って、太めの白の縫い糸を針に通す。
雑巾は作る時は、なじむようにミシンで縫うより手縫いの方がいいと、
もう大昔に家庭科の時間に教わったことばを今も実践しているのだ。

雑巾を縫うなんて、何年ぶりだろう。

いつだったか、100 円ショップで雑巾が売られているのを目にした時は
少なからずショックだった。雑巾とは、家に残ったもので作るのであって、
買うものだという発想が全くなかったからだ。

果たして、今の小学生は自分で雑巾を縫ったりするんだろうか?

「この一枚の雑巾を縫うコストを考えたら、人件費の安い中国の工場で
作って、私達はそれを安価な値段で購入する方が効率的です」だなんて、
家庭科ではなく、社会科の授業に話がすり替わってしまうんだろうか。

「コスト」や「人件費」という観点でたたき出された数値を基準に、
自分達より年上でも、優れた特技があっても、数値が低いからという理由で、
中国の工場で作っている誰かを見下すのだろうか。

そんな価値基準しかなく、そんなものの見方しか、
今の学校で教えているんでなければいいなあ、
と雑巾を縫いながら想う。

2010年7月17日土曜日

[プロボノ日記] プロボノ飲み会

プロボノ プロジェクトのチームリーダから誘われて、
サービスグラント番外編(?)という形で開かれたプロボノ飲み会@渋谷 ANTENNA に参加。

Twitter で募集したところ、あっという間に 20 名が集まった。
  • 既にプロボノ活動を経験している人
  • 今まさにプロボノ活動をしている人
  • プロボノに興味がある人
  • 自分で NPO を立ち上げた人
  • これからサービスグラントでインターンを始める人
  • プロボノのことは何も知らないけど友達に誘われて来た人…
今、Twitter で「プロボノ」を見つける人はかなり感度の高い人だと言えそうだ。

社会人に学生に、いろんな業種(でも IT 系が多かったかな)の方々が集まって、プロボノをテーマに語る不思議な会。

ワールドカフェ形式で、チームに分かれて「自分にできるプロボノとは」というお題で話題をふくらませた。3 ラウンド目で終了となったのは、酒の席ならではのご愛敬。

プロボノそのものだけでなく、各々異なる思惑があったり、今までにない視点でプロボノを考えることができたのは収穫だった。
  • プロボノをやっている人に興味がある
  • プロボノに参加する人ごとに熱意も異なるので注意
  • 実際にプロボノに参加する人には「世の中のため~」とどっしり社会貢献マインドな人はほとんどいない
  • どうせプロボノをやるなら、社内の人同士でなく、社外の人とやってみたい
  • NPO で必要としているのはウェブサイトやパンフレットの制作者だけじゃない
  • プロボノ参加者でよく募集されている専門職じゃないので、どう参加したらよいのか分からない
  • 日本の将来を良くするために貢献したい(言葉で書くと重いけど、軽やかな形で)
サービスグラントでのプロボノ経験者に、ガイドラインで宣言しているように「1 週間でプロボノに割くのは 5 時間以内」というのは本当なのか訊いてみた。
                 ↓
担当によって、作業が立て込む時期は異なるので、プロジェクトの開始からずっとこの数値内に収まるのではなく、全体の総時間を平均すると「1 週間で 5 時間以内」に収まるのだそうだ。

今までに知らない人同士が、プロボノという共通な話題で、ほどほど、ゆるゆるに語る緩い情熱。この温度感がまた参加者に好評だった。

何事もまずは楽しむことが一番。
プロボノもね。

【追記】一緒のグループで話した かわもとさんのブログにも報告記を発見! 
プロボノの現状についてもまとまっています。

2010年7月12日月曜日

[プロボノ日記] キックオフ ミーティング@サービスグラント

今日はいよいよ、サービスグラントで始める新しいプロジェクトの顔合わせ。

担当する NPO とミーティングをする前に、まずはサービスグラントの事務局とメンバーで集まった。

残念ながら 1 名都合が合わなかったけど、IT 企業のプロジェクトマネージャ、キャリアの長いフリーのコピーライター、放送系の会社で印刷物のディレクションを担当するデザイナー、企業の内部統制の担当者など、様々な職種で仕事の経験も豊富な方々が集まったのだ。

なおかつ、皆さん雰囲気のいい方々で、「ワイヤーフレームは誰が作る?」「サイトマップは誰が作る?」といった疑問点も、誰かが名乗りをあげて、全員の知識をあわせて乗り越えようとする雰囲気の良さ。

サービスグラントは、アメリカの Taproot Foundation のシステムをベースにして、日本にプロボノ活動を広めてきた中間支援組織。

アメリカの手法に、これまでの日本での実績も反映したシステムがしっかり整っていて、プロジェクト全体の流れや作業の分担、スケジュール、決まりごと(経費についても!)なども、ガイドライン化されているので、知らない者同士の初プロジェクトでも、安心して取り組むことができる。

こうしたシステムがあるかないかが、プロボノを初めとする、規模の大きなボランティアやプロジェクトでは肝になる。

6 ヶ月で NPO のサイトをリニューアルするというのは、実際にスケジュールをひくと、かなりタイト。
スキル登録会に来た時と同じように、「大変なことを引き受けてしまった」と、一瞬冷や汗も出かけたけど、「一緒に楽しくやっていこう」と言ってくれる仲間がいるだけ、今回は気持ちも楽かもしれない。

これから 6 ヶ月のプロジェクトがスタート。
ミーティングの後の飲み会でも楽しい時間を過ごし、ほっとした。

今回のプロジェクトで私が担当するのはコーディング。
制作過程で深く関わるのは、工程のとくに後半だけど、できるだけ全体の流れを見られるように、いろいろな段階に参加していこう。

12 月にはめでたく打ち上げができるよう、久々のコーダー知識をアップデートしておかねば!

2010年7月4日日曜日

[プロボノ日記] 翻訳、あっという間に脱稿

TED の翻訳のレビュー、翻訳してからレビューが始まるまでは待ったけど、あっという間にレビューが完了。
めでたく脱稿!

と、TED のシステムだと、脱稿と言えるのは翻訳が終わった時か、レビューが終わった時か、
微妙なところだけど、何はともあれ、週明けには一般公開になるかな。

そして、すでに 3 本目の翻訳も進めてます。

[追記]
翻訳が Web にアップされました。
トム・ウージェック、13世紀のアストロラーベを紹介

2010年7月3日土曜日

近頃の「男性不信」について

おもに女性誌に寄稿している齋藤薫さんは、以前から気になっているジャーナリスト。

彼女はフリーペーパーの 「jnude(ジェイヌード)」でも毎回コラムを書いている。

最新の7月号では「男性不信」というタイトルのコラムを寄せている。
ワールドカップの日本代表チームの健闘ぶりに湧いた日本について、監督や選手だけでなく、サポーターの側からも考察されていて、なかなか考えさせられる内容なのだ。

騒げればなんでもいい男たちの心理がまた浮き彫りになったりもした。
集団になるとなんでもやれちゃう日本人気質も一緒に浮き彫りになった。
男女問わず、集団・組織に属し、肩書きがあることでチヤホヤされて、「裸な王様」になっていることは、残念だけど決して少なくない。善意と下心の境界線を見定めるのは当人にとっては難しいことだけど、公平な目で自分の置かれた立場を見ることは必要だと思う。
デンマーク戦の前、
「オレも点を取るから、オマエも点を取れ」と言ったらしいが、
それがあの 3 点目になったのだとしたら、男って素晴らしすぎる。

日本の男に、不満だらけだった日本の女をそういう意味でギリギリのところで救ってくれた、
その功績はあまりに大きい。

悲しい、残念なニュースが多い分、なおさら何か熱くほとばしるものを夢想し、渇望してしまう時代。
オリンピックの時もそうだったけど、何事も控え目、受け身になってしまった近頃、何かを懸命にやっている人から受ける威力は大きい。

最近は、それをスポーツの世界から受けることが多いのでは。
いろいろ渦中の角界は別として…。

2010年7月2日金曜日

[プロボノ日記] Gmail と Google ドキュメントを活用

TED では、メンバーが翻訳を終えると、それを今度は別のメンバーがレビューするシステムになっている。

知り合い同士で申し込んだ場合は別として、大抵の場合、翻訳担当者と、翻訳のレビューをしてくれる担当者とは面識がない。だから、どんな人がレビューアーに当たるのだろうというドキドキ感もある。

レビュアーだけでなく、作業の進め方自体も担当者によって異なるので、こちらも毎回楽しみなところ。

今回レビューを担当してくださった方は、Gmail と Google ドキュメントを組み合わせて、じつに効率的に作業を進めてくれた。

 Gmail でやりとりをし、原文・訳文・コメントが一覧できる表を Google ドキュメントで共用
 レビュアーが、直した方が良さそうな訳文のセルの背景をぬりつぶし、コメントと代替案を記載
 翻訳者は記載された変更に問題がなければセルをグレーにぬりつぶす。さらに質問や提案があれば追記する…


この繰り返しで、最後には全ての疑問点がグレーで塗りつぶされたら完了。

これなら、どこを見直せばいいかも明確で、原文と合わせたチェックもすぐ にできるので、作業もスムーズ。






いたって Google のツールの基本的な機能だけなのだけど、普段はほとんど Yahoo メールで、Gmail を使う機会がなかっただけに、その効率性を再認識。

その上、今回のレビュアー担当者はいつも返信がとても速くて、自分も負けずにがんばらねば、と思わさせられたのです。「きっと実際のお仕事もバリバリとスマートにこなせる方なんだろうなあ」と感心したのでした。

2010年7月1日木曜日

[プロボノ日記] TED 翻訳第 2 弾のレビュー開始

Tom Wujec の翻訳を終えてからもう 1 ヶ月。
レビューを志願してくれる人がいなくて放置になっていた私の翻訳。

このままずっと墓場に埋没することになるのかなあと思っていたら、
昨日、レビューが始まるとの通知が突然 TED から来た。

今度はどんな方が翻訳のレビューを担当してくれるのか、
またどんなやりとりをすることになるのか、
自分の翻訳の何を直すべきなのか、

いろいろと考えていたら、ドキドキしてくる。

まずは、私の翻訳が陽の目をあびることになりそうでホッとする。

岡田監督のことば、逆転の発想

短期間でこれだけ世の評価がガラっと変わった人はそうはいない。

サッカー日本代表監督の岡田武史さんの昨年末のインタビューを改めて読んだ。
次々と溢れ出てくる、深い自省と経験に基づくことばの数々に胸を打たれた。

岡田監督が大切にしているのが次の6つのキーワード。
どれも、さまざまな試みや失敗の末に浮かび上がった、経験を凝縮したことばたち。

  • Enjoy
  • Our team
  • Do your best
  • Concentration
  • Improve
  • Communication

彼の話の中で、一番心に残ったのはこのくだり。

僕は「バーレーンに負けなかったら、どうなっていたんだろう」
「ウルグアイに負けなかったら、どうなっていたんだろう」といろいろなことを今思います。

そういうことが続いてくると、何か問題やピンチが起こった時に
「これはひょっとしたら何かまたいいことが来るんじゃないか」と勝手に思うようになるんです。

もうすぐ発表になりますが、今回もスケジュールで大変になることがまたあるんです。
それは確かに大変かもしれない。

でも、「ひょっとしたらこれでまた何か良いことが生まれるんじゃないか。
強くなるんじゃないか」とだんだん考えるようになってくるんです。

このとても前向きな、逆転の発想、
私も見習おうと思った。

強力なドリブルのように、それで前へ前へと進んで行けるから。

出典: Business Media 誠「岡田武史氏が語る、日本代表監督の仕事とは

2010年6月23日水曜日

[プロボノ日記] サービスグラントからついに召集が!

プロボノのコーディネートをしている中間支援団体のサービスグラントさんにスキル登録をしたのは、かれこれ今年の 3 月。

経験者の方が話していたように、いきなり召集令状がメールで届いた。

メールには、一緒にプロジェクトをする団体の名前や所在地といった基本情報だけでなく、これまでの活動内容、サービスグラントによる審査コメント、プロジェクトに選ばれた理由も書かれている。

善意だけでなく、時として厳しいまなざしで諸要件を検討したり、細やかな配慮を配ることによって、1つのプロボノ プロジェクトが成り立つんだなあ、と改めて感じた。

もちろん、招集への返事は「Yes」。

いよいよこれから本格的なプロボノを始めます。

2010年5月31日月曜日

[プロボノ日記] 2010 年 5 月 30 日(日)

風邪で全く声がでなくなってしまった 2 日間。

ともかく 1 日目は寝られるだけ寝て、はちみつとショウガ入りの紅茶を欠かさず飲み、うがいの繰り返し。熱はないので、2 日目までただ寝続けるわけにはいかず、〆切だった Tom Wujuc の TED Talk 翻訳の最終チェックをすることにする。

今回、体調を崩して〆切までに提出できなかったのだけど、TED の方は慈悲を施してくれて、2 日の猶予をもらえることになった。

今回は短めな内容だったこともあるが、翻訳 2 日間、レビュー 2 日間。
やはり翻訳よりも、そのレビューの方に長い時間がかかる。言葉を直して、映像で見直して、また言葉を直して…の繰り返し。

前回の反省をいかして、無駄なことばを片っ端から削除して、字幕を読みやすくすることを心がける。

今回一番ひっかかったのは "subtle" ということば。
たいていだったら「かすかな」「微妙な」とするところ。場合によっては「鋭い」「鋭敏な」ともなる。

「もうここまで」とやれるところまでやって提出!!
他の方のレビューで今回はどんなふうになるかな。

2010年5月16日日曜日

[プロボノ日記] 2010 年 5 月 16 日(日)

TED からメールが届く。

一年前に TED で翻訳されていたコンテンツは 40 言語で 300 点。それが今では 75 言語で 7,000 点にまで爆発的に増加。 そのお祝いということで、私も定型に従って Tweet してみました。


I translated Jamie Heywood's #TED talk into Japanese: http://ow.ly/1Lun8 Join #TEDTranslateless than a minute ago via HootSuite

2010年5月3日月曜日

オフラインのチカラ

ゴールデンウイークは、人混みに出かけるのも苦手なので、久しぶりにできるだけゆっくりできる時間に割くことにした。


古い新聞を整理していると、恥ずかしながら昨年末の新聞まで出てくる。さらにたまった新聞を漁っていると、先月の朝日新聞に載っていた数学者のピーター・フランクルさんのインタビュー記事が出てきた。


その中で心に残ったことば。

そんなに日本人にすすめているのが、
時には電話やインターネットにアクセスしないで
自分の時間をつくる「オフライン」だ。
新聞を読むのを週1回にしてもいい。


…主人公は自分。
自分に何がいちばん大事か、もっと取捨選択すべきです

朝日新聞 2010 年 4 月 17 日

ちょうど連休中はすっかり仕事のことも忘れ、普段の煩わしさから離れて、
家の中の整理や今までやりかけにしていたことの整理整頓。


それでいろんなことがすっきりしていくから。
というわけで、プロボノもちょっとしばらくお休み。

2010年4月25日日曜日

ALS と命と医療について考える

ALS(Amyotrophic Lateral Sclerosis、筋萎縮性側索硬化症) に関連する翻訳をすることになり、何か本を読まねばと選んだのが、立岩 真也「ALS 不動の身体と息する機械」。

幸運にも今まで病院のお世話になることも少なかった私は、医療関係の本を読んだことがほとんどない。立岩さんの本は、2004 年に出版されてからずっと、 ALS に関する良書として読まれてきたらしい。

ALS は、次第に運動神経が冒されて筋肉が弱っていき、話すことも、自分で呼吸することもできなくなって、余命が 2、3  年しかとないと言われる深刻な病気(本書を読むと、6 年以上前の時点でもこの余命は延ばすことが可能だと分かる)。

社会学者の立岩さんは、本書で病気の生命や治療方法について記述するよりも、個々の患者、そしてそれを見守る家族や介護者、医師のリアルな反応や心境を書き表している。

私が一番関心を持ったのは、立岩さんが一番ページを割いて書いている「人が生きることを社会が肯定する」「中立であることとは」という点だった。

体が動かなくなり、何もなすこともできず、何も伝えることもできなくなったら、生きる資格がないように思わせてしまう社会。そのために、この病気にかかった患者は、生きる術があっても、将来の自分を思い浮かべると、自分は生きる価値がないと考えて生きる道を閉ざしてしまう。

それは病だけでない。
この社会では「きちんと就職していないと」「結婚していないと」「結婚しているんだったら、子どもがいないと」「いい大学に入らないと」と目に見えない形で次々と人の心を脅迫し、それを満たしていないと生きる価値がない存在のように思い込ませてしまう。

ALS は今でも完治する病気ではないが、人口呼吸器をつけることで生きる時間を長くすることはできるが、人によっては、「家族に迷惑をかけたくない」、「経済的に余裕がない」と、生きることを諦めてしまう人がいる。

でも、実際には延命するための手段はあり、医療費免除のシステムもある。
それなのに人が生きることをやめてしまうのは、「社会の通念が人を生きにくくしているのではないか」というのが立岩さんの鋭い指摘である。

中立についても鋭い私見を述べている。
命について重大な決断をしなければならない時に、「本人が決めることだ」と中立な立場を取りながら、じつは人の命に対する責任逃れをしているという現実。

これも ALS だけに限ったことではない。誰かが重大な決断や行為をする時に、自分はその責任を取りたくないから、途端に口を閉ざしてしまう。

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私たちの社会では一方で、身近な、とくに善意もなにも必要とせず、
むしろそれがうっとおしく感じられるような場面で、
やさしさやふれあいが語られる。
善意が押しつけがましく押しつけられ、それは問題にならない。

他方で、生死に関わるような場面になると、
本人の意志を尊重して云々と言う。
周囲は口を出さないようにしようと言う。
これは逆さではないか。」
こうした時こそ、その人が生きることを周囲が肯定してあげる必要があり、そうでないと、ほとんどの人が生きにくくなってしまうと立岩さんは書いている。

人々が生きて行きたいという強い意志、それを見守る人々の葛藤と深い愛情、生きたいのに生きることを選択できない遣る瀬ない人生など、様々なストーリーに溢れ、まだ他にも紹介したい箇所はたくさんあり、とても私の拙い文章ではそのほとばしる激情の一端も表わすことができない。

本書では、「生きること」「生きないことを選ぶ選択」について、時として哲学書のような、深い考察が重ねられて、理解するのが難しくなる部分もある。それでも、ALS という病気を切り口に、「なぜ人は生きるのか」という問いについて改めて考えることになる。

社会…それは自分とは別の「何か漠然と大きなもの」ではなく、個々の人々の心の裏にある世界なのではないか。

難病を切り口とした本書は、人が生きることの本質、人が生きていく上での社会との関わりについて再考するきっかけを与えてくれる良書である。